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ベトナムの裾野産業 その1 ベトナムの工業の始まり

11:28 - 04/04/2022

 ベトナムの工業が発展し始めたのは、フランスがインドシナを植民地化した20世紀初頭からである。フランスは鉱業や機械加工、農林産物加工、軽工業などの工場をベトナムに建設し、電気、セメント、マッチ、ビール、石鹸、タバコ、ガラス、自動車、自転車、電車、列車、機械部品など多くの工業製品を製造し始めた。
フランスはベトナムに統治政府を樹立した後、フランス製品を優遇する保護貿易、関税障壁および特定の独占を確立した。経済面では鉱業技術、林産物加工技術、輸送の速度と品質など、当時の近代的なテクノロジーを導入して生産性を向上させた。
 第二次大戦後の1945年、ベトナムはホー・チ・ミン主席をリーダーとするベトナム民主共和国を成立させ最初の建国記念日を迎えたが、新国家の独立と統一のための戦争の時代に入った。そして戦争により経済全体が停滞し、鉱業、加工業、軽工業なども成長が止まり、衰退していった。
長い戦争を終え、1975年に南北統一を果たしたベトナムは、社会主義経済体制を基礎とした工業化路線を歩み始めた。ソビエト連邦など社会主義国の助けを借り、重工業、電子産業を発展させることに焦点を当て、製造された製品は主にソビエト連邦と東ヨーロッパ諸国に輸出された。多くのベトナム人エンジニアがソビエト連邦と東ヨーロッパ諸国での訓練に派遣され、ベトナムの工業を支える基盤人材となった。タイグエン省、クアンニン省、フート省などには国営企業が設立され、機械加工、鉱業、鉄鋼生産、製紙などの工場や施設が設けられた。
ただし、長期間にわたる計画経済は深刻な経済危機を引き起こし、1980年代の国民生活は困難な状況に陥った。そのため政府は1986年にドイモイ(刷新)政策を取り入れ、計画経済から市場経済への転換を開始した。最初の5~6年は経済の混乱が続いたが、90年代初頭からマクロ経済は徐々に安定していった。工業は著しい成長を遂げ、今では国の発展に大きく貢献する重要な分野になっている。
2020年には鉱工業・建設業のGDPに占める割合は33.72%に達した。主要な工業製品は鉱物(石炭、原油、ガス)、加工食品(水産物など)、繊維、建設用鋼材、携帯電話、バイクなど。主要な輸出製品は携帯電話と関連部品(18.08%)、電子製品とコンピューターと関連部品(15.87%)、繊維製品(10.47%)、履物(5.88%)など。
ベトナムの部品製造部門(または部品サプライチェーン)は、日本と台湾のFDI企業がベトナムへの投資を始めた1990年代に形成された。1992年に竣工された三陽工業(SYM)、1998年に竣工されたホンダの両工場はバイク部品のサプライチェーンを形成し、他の関連FDI企業と地元の3・4次サプライヤーもこれに加入した。安価な労働力と投資優遇政策の利点を生かし、ベトナムは自動車、家庭用電気、そして近年では電子機器、携帯電話の分野で多くの大手メーカーを誘致している。メーカーのFDI企業とサプライヤーの参入は、ベトナムの中小製造企業の誕生にも役立つ。FDI企業、特に日本企業はベトナム人の人材育成に重要な役割を果たしている。FDI企業で働いたエンジニアの多くは退職後に起業し、地元製造業のバックボーンとなる企業の発展に貢献する存在へと成長している。
全体の日本語記事を次のリンクからご覧ください:エミダスマガジン2021年5月号 https://issuu.com/ncnetworkvn/docs/emidas17_low
 

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