11:22 - 04/04/2022
プレス加工の分野では、金型のメンテナンス経験者や金型製作に関わる設計者、組立技術者などの人材確保が難しくなっている。ベトナムには現在、プレス金型設計・製作を学べる学校があるようだが、学校を卒業しても実際に仕事ができるかどうかは疑問だ。プレス金型、特に順送金型の設計・製作は難易度が高いため、入社後にしっかりと教育する必要がある。
ある大手企業の現地法人は、日本やヨーロッパ、アメリカ等から金型を輸入し、それを分解して社内の技術者に勉強させたり、海外へ研修に行かせたりしている。ただし費用が高いため、こうしたことをできる企業は数少ない。
このような大手が、古くからあるプレス会社でリーダーや中核となっている金型技術者に高額な報酬を提示し、どんどん「引き抜き」をしている。それに伴い、元の会社の金型技術は流出する。人材流出を食い止めるべく教育やスキルアップに力を入れると、今度はその対象となった社員が独立して会社を興し……といった難しい側面もある。
日系企業は、育て上げた人材に長く勤めてほしいと思いがちだが、外資系企業で経験を積んだ人材が自ら会社を興したり、他社に転職したりしながら人材が回っているという実態も受け止めなければならない。
韓国のサムスングループは昨年、ベトナム商工省と協力して、200人の金型設計・製作技術者を育成することを目指し、4年間(トータル8コース)の教育プログラムを展開しはじめた。同社によると、1コースの14週間(6週間が原理的な知識教育、4週間がベトナムでの訓練、残りの4週間が韓国での訓練)で、樹脂成形金型、プレス金型を中心に教育するという。このプログラムによりベトナムの金型産業が一歩前に進むと期待しているが、まだ1年を経てないので、結果が出るまで待たなければならない。
全体の日本語記事を次のリンクからご覧ください:エミダスマガジン2021年5月号 https://issuu.com/ncnetworkvn/docs/emidas17_low