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ねじ産業

11:24 - 04/04/2022

ものづくりの締結に使用されるねじ・ボルトは、製造業にとって必要不可欠な機能部品である。ベトナムでも工業や建設業の発展に伴い、ねじ・ボルトの生産能力も徐々に発達してきた。今回はベトナムにおけるねじ・ボルト業界の状況を解説する。

 建設用、インテリア用のねじ・ボルトは中型から大型サイズまで国内で調達できる。代表的な企業は、Nam Phat Group、Tan Anh The、Tin Thanh、Hai Phuong等が挙げられる。
一方、工業用は状況が異なる。ベトナムではバイク産業、OA機器・家電産業の発展が目覚ましく、近年はスマホなど電子産業も発達しており、今後は自動車産業の伸びも期待されている。自動車、バイクの工場にねじを収めている企業は日系、台湾系、中国系等の外資が中心で、最近は地場企業もティア1のサプライヤーとして参入してきた。しかし、スマホ用のねじは微小サイズのため、生産できる地場企業は数社のみ。
数年前、サムスンがサプライチェーンに参入できる地場企業を探したが、なかなか採用に見合う企業を見つけることができなかった。当時、裾野産業に携わる多くの地場企業は、非常に簡単な部品であってもサムスンの厳しい条件を満たして製造できず、その事実は世間に大きな議論を巻き起こした。
その後、政府の支援と企業の努力により裾野産業は一定の発展を遂げてきたが、スマホ用ねじを提供できるのは未だスマホメーカーに従いベトナムに進出した外資系企業というのが現状だ。
 背景には、採算性の問題もある。ねじは小さければ小さいほど不良率が高く、品質保証(QA)が厳しい。そのため検査装置導入が求められ投資がかさむが、ねじ単体の販売価格はわずか数十ドンなので一社単独の投資では採算が合わないという現実がある。
 ベトナムのねじ市場は規模が大きくないため、国内で製造する種類は限られている。一番多く使われる材料は鉄(SWCH10A~22A等)、ステンレス、銅等で、2次加工は熱処理とめっき(亜鉛、ニッケル、クロム、銅等)となっている。外注は少なく社内で加工から熱処理、表面処理まで一貫生産するのが一般的だ。外資系企業がねじ専業なのに対し、地場企業は事業のうちの1つとして稼働することが多い。また、外資系企業は小ロットも請け負うが、地場企業は大量で精度の高くない案件のほうを歓迎するという側面もある。
 国内でのねじ供給が足りないため、ベトナムで製造できる種類であっても日本や中国から輸入されている。輸入量は年々上昇し、HS7318(鉄製ねじ、ボルト、ナット等)の輸入額は2010年に2.6億ドル(約270億円)だったが、現在は2倍以上の5.8億ドル(約600億円)となっている。


全体の日本語記事を次のリンクからご覧ください:エミダスマガジン2021年1月号 https://issuu.com/ncnetworkvn/docs/vn_emidas_013
 

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