11:26 - 04/04/2022
ベトナムの裾野企業が直面している機会と課題について、ビン氏は「ベトナムの企業は、かつてないほどのビジネスチャンスに直面している」と率直に語った。
コロナ禍によるサプライチェーンのシフトや米中貿易戦争の影響で大手メーカーが新たな生産拠点の開発を急ぐなか、ベトナムは魅力的な投資先として世界中から注目を集めている。そのため、2020年は困難な1年のように見えたが、実際には多くの企業が生産を拡大したり、工場を拡張したり、新規の機械・設備への投資をしたりする1年だった。
また政府は新しい市場を創り出すため、多くのFTA(自由貿易協定)に署名した。政府は企業コミュニティの懸念や提言に常に耳を傾け、適切な支援政策を公布している。2015年以前に設立された裾野企業(ベトナム企業とFDI企業)に対する法人税優遇措置もその一例だ。政策の効果が評価できるまでにはまだ時間を要するが、これからベトナムの裾野産業の著しい発展が期待できる。
ただし、フラット化する世界で競争が激化するなか、ベトナム企業も多くの困難に直面している。地元のFDI企業と競争するだけでなく、近隣諸国と価格・技術の面で競争する圧力もある。長年にわたり裾野産業を発展させてきた諸外国に比べ、ベトナムの裾野産業は未発達で経験豊かな専門家が少ない。それに加え、人件費の上昇、勤勉で頭が良いと言われるベトナム人労働者の労働生産性が東南アジアで最も低いこと、学校教育が企業の需要に合わないこと、国内での材料調達が難しいことなど、様々な問題点が挙げられる。そのためベトナムの企業にとって、生産コストの削減、生産性向上、人材育成などが課題となっている。
また、ベトナムの銀行の高い貸出金利と非公式の手数料が、ベトナム企業が融資にアクセスすることを非常に困難にしている。企業と国の管理機関との面談では、よく融資や生産施設(工場)に関することが話題にのぼる。
連携の欠如も、ベトナム企業のデメリットの1つだ。多くの業界団体が設立されているが、ほとんど効果が見られない。事業家は依然として警戒心が強く、「共に開発する」ではなく「競争する」を目指しているからだ。こうした連携の無さが、同じ協会内の企業間で受注を共有することを困難にし、完全な「Made in Vietnam」を一緒に作れなくしている。
「同じ協会の会員同士、強い連帯感を持ち、顧客の要望に応えるために受注を共有し、互いにサポートし合うのが理想だ。」とビン氏は述べた。
全体の日本語記事を次のリンクからご覧ください:エミダスマガジン2021年5月号 https://issuu.com/ncnetworkvn/docs/emidas17_low