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ベトナムの裾野産業 その2 FDI企業の参入が契機に

14:24 - 04/04/2022

裾野産業の現状について、ベトナム裾野産業協会(VASI)の書記長であるチュオン・ティー・チー・ビン氏は次のように語った。
「ベトナムの裾野産業は、長期間の戦争の影響、前期の不適切な開発政策のため、中国とアセアン諸国に比べて後れをとった。市場規模が大きくないため、開発しにくい環境でもあった。何十年にわたる計画経済の影響により、ベトナムは部品や材料など裾野産業における生産のための思考と訓練に関して確固たる基盤を持っていない。高品質の工業製品を生産する上で、管理能力と経験の欠如は、国際的な競争においてベトナム企業のデメリットの1つとなる」
民間部門の経済活動が抑制されていた80年代には、国営企業で働くエンジニアの多くは家計を支えるために違法な工場を設けた。筆者は50~60代の社長たちから、当時の様子について、「工場を開いては閉じ、開いては閉じの繰り返しだった」と聞いたことがある。そうした苦しい時代の影響と、国営企業の古い考え方や官僚主義は、今に至るまで一部の企業に根づいている。こうした状況について、ビン氏は「FDI企業に加え、留学組や海外での勤務経験がある人が設立した企業の数が増えるにつれ、状況は徐々に変わってきている」と指摘する。
市場と労働力の両面において顧客であり、競争相手でもあるFDI企業の国内市場への参入は、地場企業の大量生産から工業部品生産への移行を加速させた。FDI企業は優れた「教育の場」でもある。多くのベトナム人従業員がFDI企業で技能を身につけた後、他の企業へ転職したり、自分で会社を興したりすることは外国企業にとって問題ではあるが、こうした高度な労働力が地元の製造業に新しい風を吹かせることは否めない。
2005年頃から設立された裾野産業企業の社長の半数以上がFDI企業で働いた経験を持つと言っても過言ではない。特に日系企業で長く働いていた人が多い。現在、これらの企業は外国企業のサプライヤーになり、ベトナムの製造業の発展に大きく貢献している。筆者はそのような地場企業をいくつか訪問し、日本企業もこれらの先進的な工場に感銘を受けるだろうと強く思った。近代的な製造・加工機械を完備し、日本やヨーロッパの規格に準拠したこられの工場では1000分の1までの精度を実現する。


全体の日本語記事を次のリンクからご覧ください:エミダスマガジン2021年5月号 https://issuu.com/ncnetworkvn/docs/emidas17_low
 

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